1 ワンちゃんの出産をお考えの方へ
ヨークシャーテリアのお産は、学校で例えると「大学」級に難しいと教わりました。
本には書いてない私が教えて頂いたり、経験で参考になればなと思うことを少しまとめてみました。
- どの犬種もそうですが、出産には母子共に「命」のリスクがあります。ヨークシャーテリアは、体が小さいので特そうです。よく考えて決断して下さい。
- 初産は、3歳までにした方が元気な子が産まれて、母子共にリスクが低くなります。
- 飼い主さんの手に負える出産か、そうでない出産なのかの「見極め」と「決断」が とても大切になります。
- 出産の2、3日前にレントゲンを撮り、 赤ちゃんの頭骨と子宮口の大きさを計って貰って、自然分娩が可能か確認してください。出産前の1週間は、赤ちゃんもとても成長しますので1週間前のサイズではなく、より出産日近くで撮ることをお勧めします。
- 赤ちゃんが5頭以上お腹にいて、とても大きなお腹で横に「ひし形」に、ひろがっていると自然分娩は難しくなります。
- お産には「なんでも有り」です。本に書いてあることや、先生のおっしゃることが、必ずご自分のワンちゃんに当てはまるとは限りません。目の前でワンちゃんを見ている飼い主さんの勘は大切です。
- 出産の直前でも、餌を食べる子は食べます。食べるから、出産はまだということはありません。
- 微弱陣痛の場合は、いくら待っても赤ちゃんが産まれるだけの強い「リキみ」は来ません。いつまでも、待っていたら母子共にリスクが高くなります。あくまで、私の場合ですが母犬が 「涙」を浮かべてきたら限界かなと判断します。犬は、我慢強いので飼い主さんが辛そうと感じた時は、かなり辛いと認識して下さい。
- 強い陣痛が来て2時間経っても産まれない時は、お腹の中で普通ではないことが起こっている可能性があります。
今、書かせて頂いたことはあくまで可能性ですが、出産の時の母犬と子犬の命に対する 責任の重さに、私の心は、いつもつぶされそうになります。
ただ、ワンちゃんと仔犬の命を守れるのも飼い主さんです。
必要があると判断した場合は、先生に頭を何度下げてでも、自分の意思を通すという心構えと、覚悟もお持ちになって 出産に向かうと、いざという時、正しい判断がしやすいと思います。
自然分娩なら全く問題ありませんが、 何か決断に迷った時は参考にしていただけたらと思います。
ヨークシャーテリアの出産は、リスクが伴うので帝王切開という選択肢も頭の中に入れておいてください。無理はしないほうが母犬、仔犬と共に助かる確率は高くなります。
2 交配の際の注意点
女の子をお持ちの飼い主さんは、ご自分のワンちゃんの赤ちゃんを見てみたいと交配を希望する方もいらっしゃいます。
できれば、3歳までに決断をしていただいた方が母犬へのリスクは低くなります。
- 交配相手を探すときの注意点ですが、交配はワンちゃん同士も初めてだとうまくいかない可能性が高くなります。ペットッショプか、ブリーダーにお願いをするのが一番確実です。
ペットとして大切に飼われているワンちゃん同士だと、どうしても難しいです。 - お相手の男の子も子供が産まれている経験がある子の方が、仔犬の健康面等、色々な意味で安心です。
- 交配は、出血があってから11日から14日目の間が一番可能性が高いのです。
- ヨークシャーテリアは発情の出血がはっきりしない、無性出血発情の子もいます。
- 無性出血の子は、病院でスメア検査をして交配日を調べてもらうと、交配日が予想出来ます。
- しっかりした発情が来ていない時は、ホルモンのバランスがあまり良くないので妊娠しずらく、赤ちゃんの頭数も少ない可能性あります。
- 交配日がわかったら、交配先にワンちゃんを連れて行き、出来れば11日から14日の間に2回交配して頂くと赤ちゃんのできる可能性が高くなります。
- 出血がちゃんとある子でも、必ずしも11日から14日の間が発情が来ているとは限りません。意外と14日以降に一番交配に適した日が来ていることもあります。ワンちゃんが尻尾を触ると横に動かすしぐさをしたり、出血が薄いピンク色になってきて少し匂いがしてくる時が、一番交配に適した時期の目安になります。
- 交配をワンちゃんが嫌がる場合は、無理して自然交配ではなく人工授精という選択肢もあります。アメリカでは、病気の予防のためにも、ほとんどヨークシャーテリアの交配は人工授精をするようです。
3 出産前の注意点
- 犬の出産は、だいたい58日から63日くらいの間になります。
- 予定日の3日ぐらい前に病院でレントゲンを撮ってもらい、赤ちゃんの頭数と骨盤を赤ちゃんの頭骨が通れるか確認しておくと自然分娩できるか出来ないかの判断になります。
4 出産の際の注意点
- 1日3回くらい体温を計って、体温が36度台に下がったら出産が始まります。
- 38度の戻ってもなかなか生まれない場合は、自然分娩は難しい可能性があります。帝王切開も考えた方が母犬、仔犬ともに助かる可能性が高くなります。
- 自然分娩出来る時の陣痛は、陣痛が来た時、母犬の尻尾が垂直に立つくらいのリキみです。強い陣痛が来ていても、尻尾が垂直に上がらない陣痛だと微弱陣痛で自然分娩は難しい可能性があります。
5 出産後の注意点
- 自然分娩であれば大体母犬は、仔犬を舐めて子育てを始めます。最初の1週間は、母犬は仔犬の命を守ることに夢中になります。
- おっぱいを上手に飲めない子がいる場合は、手伝って乳首にくわえさせてあげるか、授乳をしてあげて下さい。
- ヨークシャーテリアの仔犬は、とても小さいので母犬によっては産まれて2、3日は仔犬をくわえて移動させようとする子もいます。仔犬を傷つけないように気をつけてあげて下さい。
- 産まれて直ぐは、体温が低いので保温には十分気を付けてあげて下さい。
☆ワンポイントアドバイス
産まれて3日、7日、1ヶ月に「命の山」があり、それを、超えると大体元気に育つと言われています。